「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」



 すごいイケメンだけど。
 なんか面倒臭い課長だなあ、と思っていた――。

 呑み会の席も隣になりたくない。

 説教されそうだ、と思っていたが、酒の席になると、不思議と気が合った。

 それに、何処に行っても、滝本と出会うと気がついた。

 飲食店の好みが一緒なのだ。

「食べたり呑んだりの好みが一緒な女というのは理想的だと思ってたのだが、お前では……」
と滝本が言うので、

 いや、お前では、と思っている時点で、なにも理想的でないですよね、と環奈は思う。

 でも、この人と呑むのは楽しいし、楽だ。

 職場では相変わらず、必要なことしかしゃべらないが。

 やがて、二人、街外れなどで、待ち合わせて呑むようになった。

 お互いの話をしているうちに、結婚の話になる。

 滝本はグラスの中のよく冷えた冷酒を見つめて言う。

「俺は結婚、絶対、失敗したくない……」

 そういう人ですよね。
 弱み見せるの嫌ですもんね。

「特に結婚したい相手もいない。
 だが、周りがうるさい。

 人のいい上司もうるさい」

 上司にも上司っていますよね。

 そのカーストの中では、まだまだ新人な私など最下層ですよね、と思ったとき、滝本が環奈をじっと見つめてきた。

 ……やめてください。

 めんどくさいイケメンとは言え、イケメンなんでっ、と思ったとき、滝本が言った。

「お前、許嫁と別れたいんだろう?」
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