「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 仕事中は尊敬のまなざしで見てくれ、呑み会などで酔ったときには、
「いや、俺、課長みたいになりたいんすよ~っ」
と言ってくれる平井の目が今、実際、冷え切っている。

 占い師はまた子どもがやるようなトランプ占いをはじめたが――。

「うーん。
 仕事は順調そうですが。

 私生活は前途多難な感じですね」
と言い出す。

 ――もう結婚も決まってるのにっ?

「結婚に関しても、お膳立ては整ってるのに、肝心なところで、あなたの性格が災いして、上手く運ばなさそうです。

 ちょっと自分を見直してみては?」

 俺に攻撃的な常務ですら、そんなキツイことは言わないっ。

 占い師っ。

 偉い人が占い師に頼るのは、たまには誰かに叱られたいからなのだろうかと思ってしまうくらい手厳しい。

「最近は、あなたにしては積極的に動かれているようですね。
 でも、もうちょっと素直になった方がいいと思います」

 ごく普通に人としてのアドバイスッ。

 っていうか、今、見つめているそのスペードの5とか、ハートの3とかで、そんなことわかるのかっ!?
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