「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「わあ、課長っ。
 素敵じゃないですかっ」
と上から下りてきた環奈が喜んだ。

「おう……」

 単に去り行くハロウィンを引き止めたいからだよ、と思っていたが、環奈は、
「さっきお母様からお電話がありましたよ。
 お正月、着物でもいいわよと言われました」
と言う。

 こいつらっ、もうハロウィンからお正月に飛んでるっ。

 いや……、いいのか。

 この家にクリスマスはないってことで――。

 そう思ったとき、環奈が言った。

「クリスマスなんですが」

 どきりとしてしまう。

「隠れ家カフェはクリスマスの飾り付けはするし、料理もそれ風にするけど。
 他の店みたいにカップル割とかしない、と言っていました」

「……なんでだ」

「ひとりで来る人も静かに食事を楽しめるような店にしたいから、『隠れ家カフェ』なんで。

 クリスマスだからと言って、カップルだけ優遇したりはしない、ということらしいです」

 ひとり静かに?
 店の人間自ら、客とゲームやってるのに?

「ちなみに、カップル割があったとしても。
 私と課長が二人で来ても、カップルとは認めないらしいです」

 いや、私情挟みすぎだろっ。
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