「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 


「クリスマスには占いに行くの」

 実に機嫌良く悦子が社食で言った。

「……クリスマスに恋占いしてる時点で終わってる女と思われませんか?」

 そんな麻沙子の言葉をオールスルーして悦子は言う。

「最近、感触いいのよ。
 この間、占い師さんに梅サイダー渡したら、ちょっと照れながら、すみませんって言われた」

「それはいい感触なんですか……」
と平井が呟いている。

 この二人、平然と同じテーブルで食べてるんだが……。

 その視線に気づいたように平井が環奈を見る。

「なに?」
と問われたので、

「あのー、
 ……悦子さんと一緒にいて気まずくなったりしないんですか?」
と訊いても大丈夫そうだったので訊いてみた。

「しない」
と二人とも、あっさり言う。

「敬語からタメ口。
 タメ口から敬語に戻ったのがちょっと混乱するけど」

「そう。
 些細なことは気にせず、未来に向かってゴーよ」

「そうですね。
 僕もあれから占い師さんのところに通って吹っ切れましたし」

「私もっ。
 おそろいねっ」

 ……この二人、占い師によって吹っ切れた理由が違う気がするのだが、まあ、いいか。

 見習いたいな、この前向きさ、
と思ったあとで、環奈は気づく。

 ちょっと離れた席で部長と食べていた滝本が何故か眩しげに、平井を見ていることに。
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