「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「そういえば、最近、ワンパン料理ってよく聞くじゃないですか。
 あれ見るたびに、叩きつけながら作るのかなと思うんですが」

 環奈は頭の中で、ミンチの塊をまな板に叩きつけていた。

「いや、なんでだ……」

「ワン、ぱーんち、みたいな」

 滝本が冷ややかな目でこちらを見ていた。

「……なんでそんな蔑むような目で見るんですか」

「今は蔑んではいない」

 ――今はっ!?

「お前、今日、メッセージ送ってきてたろ」

「あっ、昼休みでも、まずかったですかっ?」

「いや、自分で読み返してみろ」

 そう言われ、手袋を外した環奈は棚に置いていたスマホを手にとった。

 滝本に送ったメッセージを確認してみる。

『うちの近くのあのパン屋さん、この間テレビでやったんで、今、大名行列らしいですよ。

 隠れ家カフェは紹介されないといいですね。
 大名行列になったら困りますもんね』

「……打ち間違いはあるにしても、二回はないだろ」

 気づけ、と言われる。

 


< 279 / 328 >

この作品をシェア

pagetop