「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「私、寝言を言うらしいんですよね」
社食で環奈はそんな話をはじめた。
「そういえば、母にも昔、言われました。
『夜中に戸締りを確認に行ったら、突然、あんた、
「……ワレワレは、ウチュージンだ……」
って言い出したけど、
宇宙人を娘に持った覚えはない』って」
トレーを手に近くを通っていた滝本が、
俺も宇宙人を嫁に持った覚えはない、
という顔をする。
「……『ワレワレ』なら、あんたのお母さんも宇宙人じゃないの?」
と悦子が言い、麻沙子が身を乗り出す。
「えっ?
なになに?
その寝言、聞いたの、課長なのっ?」
なんだ、順調じゃないっ、と麻沙子には言われるが、そんなロマンティックな話ではない。
寝姿に色っぽさのカケラもなかったようだし。
籍を入れたところで、永遠に偽装結婚のまま進みそうだ、と環奈は思っていた。
「クリスマスは当然、課長と過ごすのよねっ?」
「そうですね。
聖一さんも来るみたいです」
いや、何故っ?
という顔をされたが、滝本や西山がそう聞いたらしい。