「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 


「私、寝言を言うらしいんですよね」

 社食で環奈はそんな話をはじめた。

「そういえば、母にも昔、言われました。

『夜中に戸締りを確認に行ったら、突然、あんた、

「……ワレワレは、ウチュージンだ……」
 って言い出したけど、
 宇宙人を娘に持った覚えはない』って」

 トレーを手に近くを通っていた滝本が、
 俺も宇宙人を嫁に持った覚えはない、
という顔をする。

「……『ワレワレ』なら、あんたのお母さんも宇宙人じゃないの?」
と悦子が言い、麻沙子が身を乗り出す。

「えっ?
 なになに?

 その寝言、聞いたの、課長なのっ?」

 なんだ、順調じゃないっ、と麻沙子には言われるが、そんなロマンティックな話ではない。

 寝姿に色っぽさのカケラもなかったようだし。

 籍を入れたところで、永遠に偽装結婚のまま進みそうだ、と環奈は思っていた。

「クリスマスは当然、課長と過ごすのよねっ?」

「そうですね。
 聖一さんも来るみたいです」

 いや、何故っ?
という顔をされたが、滝本や西山がそう聞いたらしい。
< 285 / 328 >

この作品をシェア

pagetop