「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「西山さんも新浜さんも、中谷さんもいますよ」

「隠れ家カフェかあ」
と麻沙子は言ったあとで、

「……いや、何故、中谷さんがそこに出てくるのよ」
と言う。

「まあ、ああいう仲良し夫婦になるのが夢なんけどさ。

 いいなあ、私も行きたかった。
 クリスマスイブは大学の友だちとイルミネーション見に行くことになったのよ」

「あったかパンツが負けるイルミネーションですか」
と環奈は言って、なんなのよ、それ、と言われるが。

 いや、イルミネーションを見るときの寒さに極暖なパンツも靴下もコートも負けて、内臓まで冷え切るからだ。

「ちなみに、クリスマスは客が多そうなので、後から来た人は外だそうです」

 外にテーブルを出して、ライトアップしてくれるそうだ。

「それこそ、寒そうじゃない」

「一応、暖房つけてくれるらしいですよ。
 あと……

 外だと、猫が来るかもしれません」

「でも、寒いわよ」

「でも、猫が来るかもしれません。
 膝に乗ってくれるかも」

「それしきで和らぐ寒さなのに、あったかパンツは負けるの?」
と言い合っている二人の横で悦子はマイペースに、

「私はクリスマス・イブに占い予約してるから、占い師さんと絶対一緒に過ごせるんだ~」
と夢みるように言っている。

「……なにこのカオス」
と悦子の正面に座る平井が呟いていた。




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