「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 


「今朝、生きた鳥がたくさん入ったパイが出てくる夢を見たんですよ」

 クリスマスイブの日。
 環奈は仕事が終わったあと、滝本の家でちょっとおめかしをし、玄関先で滝本と待ち合わせ、隠れ家カフェに向かって歩いていた。

 横を歩きながら滝本が、
「やめろ。
 お前がそんなことを言うと、あの人、ほんとうにパイに生きた鳥入れてくるから」
と言う。

 新浜のことのようだ。

 茶色いファーのついた赤いワンピース。
 クリスマスっぽいと思って買ったのだが。

 クリスマスになって改めて見てみると、これ以上ないくらいクリスマスだった。

「子どもたちから駆け寄ってこられそうです。
 サンタと間違えられて」
と環奈は言う。

 まあ、今は黒いコートを着ているので、ワンピースは見えないのだが。

「隠れ家カフェで仮装した店員と間違えられそうではあるな」

 ……やはりっ、と思っているうちに、隠れ家カフェに着いていた。

 もう日は落ちていて、早くに来ていたお客さんたちで店内は満席だった。

 環奈たちはライトアップしてある庭の席になる。

 小さな焚き火台があちこちに置いてあって、そこそこ暖かい。

「綺麗だし、これはこれでアリですね」

 などと最初は言っていたのだが。
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