「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
コースの途中で出て来た柚子シャーベット。
いつもなら喜ぶのに、環奈は絶望した。
「……寒いのなら食べるな」
と滝本は言うが、
「美味しいのがわかっているのに、食べないなんてできませんっ」
と環奈は叫ぶ。
冷たい。
寒い。
美味しい。
冷たい。
寒い。
美味しい。
心の中で繰り返しながら、そのちょこっとしかないシャーベットを食べる。
倒れ込みそうな環奈の目に、庭の隅にある植物が映った。
「そういえば、あれ、この時期に咲かないんですよね」
「どれだ?」
と言う滝本に、
「あれですよ、あれ」
と寒さで頭が回らない環奈は言う。
「ほら。
カルフォルニアロール」
滝本が沈黙したあとで言った。
「まさか、クリスマスローズか」