「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 みんなしばらく黙って窓の外を見ていた。

 店の前の道を通っていく人を見ながら環奈が言う。

「早く帰っていった人たちは、おうちでゆっくりクリスマスを過ごすんでしょうね。

 お父さんが小さなもみの木とか片手に抱えて、みんなで一緒に帰ったり」

 外の道を見ながら、みんな環奈の妄想を想像してみていた。

 うんうん、と中谷たちは頷いたが、滝本は、
「今から、もみの木を?
 遅いだろ。

 あと、それ、片手で持てるか?
 それに、一体、何処らかそのもみの木を――」
と次々ツッコミを入れてくる。

 雰囲気ですよ、雰囲気……。

「そもそも、こんな大通りから外れたところをクリスマスの夜に通るのは、さっきの人みたいに、寒いのに犬の散歩に付き合ってる人くらいなのでは?」

「……黙ってください、滝本さん」
と環奈は言ったが、みんなは笑っていた。

 中谷たちが腰を上げる。

「さ、そろそろ帰るか。
 もみの木ないから、この店の庭の木でも抜いて」
と笑って言う。

 建物と同じで木も年数が経っているようなので、片手で抱えられるサイズのはないようですが……。
< 296 / 328 >

この作品をシェア

pagetop