「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」


 クリスマスの朝だからといって、社会人は休みではない。

 でも、気持ちのいい朝だ。

 環奈は冬の朝の光を浴びて伸びをする。

 一階に下りるとキッチンに滝本がいて、ちょっと恥ずかしそうに、
「おはよう」
と言ってきた。

「……おはようございます」

 なんで課長、照れてるんだろう?

 昨日、呑みすぎて暴れたとか、私に説教しまくったとかってわけでもないのに。

 そう思いながら、滝本が途中まで作っていた朝食を一緒に作って食べる。

 そのあと、仕事に行くのに、玄関に鍵をかけていると、後ろに立つ滝本が言った。

「昨日言ったこと、ゆっくり考えてくれていいから」

 ――昨日、なにかおっしゃいましたっけ?

 環奈が鍵を手に、くるりと振り向いたとき、滝本はもう歩き出してしまっていた。

 一緒に出勤しないようにしているので、まあ、追いかけなくていいか、と思って見送る。

 いや、課長より後に出勤するのは、ちょっと問題があるのだが。
 


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