「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
「思い出せないんですよね~」
社食の窓際の席で、環奈は呟く。
「昨日、課長がなにかおっしゃったらしいんですけど。
一体、なんの話だったのか」
悦子が、
「莫迦ね。
クリスマスに言うことって言ったら、結婚してくれとかに決まってるでしょ」
と言う。
「でも、この二人、もう結婚は決まってますよ」
と麻沙子が言って、
「ややこしいわねっ」
と環奈が怒られる。
「ともかく、なんかきっとロマンティックなことよ」
そう悦子は決めつけた。
「思い返してみなさいよ」
「……そうですねえ。
あー、そういえば、なにか課長がお話をされていたような。
私の部屋の前で。
それで――
わかりました。
考えてみます。
おやすみなさい、と言って、バタンと扉を閉めました」
「なんで、閉めるのよっ!?」
「クリスマスよっ!?」
と二人に言われるが。
いや、課長は別に、それで今朝、不機嫌ってこともなかったですけどね、と環奈は思う。
人と同じように進行していかなくてもいいのではないでしょうか。
いや、私たちがカップルなら、ですが――。
「でもいいわね。
ラブラブね」
「いや、出てってくれって話かもしれませんよ」
「なんでよ。
ああっ、私なんて、好きな人の時間をお金で買うしかないのにっ」
「……占い関係なく、お食事とかに誘ってみられたらどうですか?」
「断られたらどうすんのよっ」
と環奈は悦子に怒られる。
どうして、そこで急に消極的になるのですか……。