「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
さっきから、恐ろしい話が聞こえてくるんだが。
そう思いながら、滝本は環奈たちの斜め後ろのテーブルに座った。
近すぎず、遠すぎずの場所に座ったのは、話のつづきが気になったからだ。
確かに俺は勇気を出していった。
花守に、俺も環奈と呼んでいいかと。
花守がちょっと照れくさそうな顔をしたので、ゆっくり考えてくれていいと言った。
それだけのことなのに、いつの間にか、ロマンティックにプロポーズしたことになっているっ!
いやっ、花守だけじゃない。
俺自身、言ってもいないプロポーズで結婚とか、どうなんだ、将来的にっ。
まあ、それも花守が受けてくれればの話なんだが……。
……考えなければ、今すぐにっ。
ロマンティックなプロポーズの言葉をっ。
って、普通にプロポーズもできないのに、ハードル高すぎだろうっ。
成田っ!
いや、今は恨み言を言っている場合ではない。
ピンチはチャンスにっ。
今すぐ、素敵なプロポーズの言葉を考えたら、なにもかも上手くいくかもしれん。
だが、待てよ。
あとで、あいつが、俺がたいしたこと言っていないという記憶を取り戻してしまったら?
「……殺るしかないか」
中華風卵スープに映る自分の顔を見ながら呟く。
顔を上げると、平井が、
なにをですっ!?
そして、誰をですかっ!?
という顔をしていた。