「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 


 家に帰った滝本は環奈が食事中、チラチラこちらを見てくるのに気がついた。

 ……俺がなにを言ったのか気にしているようだ。

 なんでもいいぞ。
 お前が望むセリフを言ったことにしろ。

 なんなら、それをもう一度言ってやってもいい。

 待てよ。
 もしかして、これはタイムマシンに乗って、相手にとって、もっとも良いプロポーズの言葉を教えてもらってくるのに等しい行為じゃないかっ?

 そうだっ。
 ピンチをチャンスにっ!
と滝本が思ったとき、環奈が言った。

「あの、すみません。
 実は私、昨夜の記憶があまりなくて――。

 課長、私になんておっしゃったんですか?」

 ジーザスッ!

 素直すぎるぞ、花守っ。
 もうちょっと小狡(こずる)く生きろっ。

 だが、所詮、滝本も似たようなものだった。
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