「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
 ここでジタバタ足掻いてもしょうがない、と思った滝本は素直にバラす。

「俺こそすまない。
 昼間、お前たちの話が聞こえてきたんだが。

 俺はなにもロマンティックなことなんて言っていない。

 だだその――」

 うん?
 俺はもう一回、あれを言うのか?

 照れるじゃないか、と思いながらも滝本は言った。

「お前をその、

 環奈と呼んでもいいか?

 そのっ、みんな呼んでるしっ」

 途中からすごい早口になってしまった……。

 変な汗を掻いているのは、このテイクアウトの酸辣湯(サンラータン)のせいではない気がする。

「私――」

 環奈が口を開いた。

「思い出しました。

 そうだ。
 あのとき、私、課長に環奈と呼ばれるのはちょっと違うかなと思ったんです」

 ひっ、と滝本は心臓が止まりそうになる。
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