「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」
ひっ、課長に手を握られましたよっ。
環奈は逃げたくなって、キョロキョロしてしまう。
だが、二人きりの家なので、誰も助けてくれる人はいなかった。
赤くなってしまっていることを知られたくないっ、と思う環奈に向かい、滝本は語りかけてくる。
「お前はカメじゃないから、手を振っても伝わらないだろう。
だから、俺のつたない言葉で話す」
……何処からカメが出てきました?
と思っていたが、突っ込めない雰囲気だった。
「この間、ひとりで遅い時間に帰ったとき、ずっと思い出していたんだ。
初めて、お前と二人で夜道を歩いたときのこと。
……俺はこれからもこの道を、ずっと二人で歩きたいなと思った。
猫を探したり、王様なお前の話を聞いたりしながら」
王様なんでしたっけ?
とまた思ったが、やはり、突っ込めない雰囲気だった。