「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」



 今日は大晦日なので。
 家や実家で過ごすからと、常連さんが来ていなかったり。

 初めて出会うお客さんがやってきたり――。


「じゃあ、よいお年をー」

 友だちや家族とこれから神社や寺に行くという悦子と麻沙子がちょっとだけ顔を出して、すぐに帰った。

 聖一も、
「じゃあ、俺もこの辺で」
と腰を上げる。

「環奈はまだ家帰らなくていいの?」
と言いかけ、あ、という顔をした。

「そうだ。
 滝本さんと家族になったんだったね」

 聖一がちょっと寂しそうな表情を見せるので、

 いや~、まだなってはないんですけどね……、
と思いながらも、環奈は申し訳ない気持ちになる。

「環奈と年を越すのは自分だと長年思ってたんだけど――」

 そう言いながら、聖一は環奈の手をそっと握ってきた。

「許嫁だってことに甘えていたのかも」

「いえ。
 単にその、聖一さんはモテるから、私なんかではご不満でしょうに、とずっと思っていただけです」

「……俺はモテないから、俺なら大丈夫という意味か」
と滝本が言って、みんなが笑う。


 

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