婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
「じゃあ、早速買い物に行こう」


ふわりと頬を緩め、もう一度私の頬を指の背で撫でた彼に促され、店を出た。

支払いもすべて彼が済ませてくれていて、ますます今後挽回しなければと混乱する思考の中で考える。

色々見てみようと誘われて都内にある有名な高級百貨店に足を踏み入れる。

ここに来るまでの間にお互いの親に婚姻届を提出した件を電話で報告しておいた。

両家の親たちは温かな祝福を贈ってくれた。

昴くんには琉生さんがメッセージを送り、すぐに祝いの返信が届いていた。

菫にも同様に私からメッセージを送信したところ、祝福が届いた。

ちなみに菫には母への結婚挨拶の後、改めて電話をして詳しい経緯を説明してある。

菫は遺言のために結婚するのではとしきりに心配していた。

でも、偶然琉生さんが幼い頃に遊んだ少年だとわかり、急速に距離が縮まり、惹かれ合ったとなれそめ以上に詳しく伝えたところ、若干疑いながらも私が納得して幸せならと祝福してくれた。

今度妹が休みでこちらに戻った際に琉生さんと三人で食事をする予定だ。

琉生さんは迷いなく宝飾品売り場に足を進め、私の好みを聞きながら店内に入っていく。

初めて訪れる場所に気後れする私とは対照的に店員に結婚指輪について尋ね、私の希望に沿った商品を提案してもらう。
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