婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
頭の中を三年前の思い出が急速に駆け抜ける。


「琉生さんが、あのときの? 本当に……? 私、てっきり訓練生かと……」


「童顔だからな、二十代はよく学生に間違われた」
 

彼が複雑そうに眉をひそめる。


「蕗、空港内のコーヒーショップで鍵につけていたキーホルダーのひとつをなくしたって言ってただろ。三年前、蕗が去った後に落ちていたんだ。俺が拾って自宅に保管してある」
 

私の鍵を見て、さらにキーホルダーの説明を聞いたときには、私が三年前に出会った相手だと確信していたらしい。


「だったら、すぐに話してくれれば」


「俺もすぐに確認したかった。でも蕗は従弟や遺言の件で混乱していただろ。そんなときに吞気に思い出話をすべきじゃないと思った。再会時の俺はずいぶん情けなく、最悪な態度だった。勝手だけど、もう少しましな印象の、今の俺を知ってほしかったんだ」
 

私の頬を包んだまま、彼が視線をそらす。


「なにより……三年間捜し続けて、キーホルダーを今も大切に保管しているのを気味悪く思われないか心配だった。俺にとったらあの出会いはかけがえのない大切なものだけど、蕗には違う可能性もあったから」


「そんな、まさか。私もあのとき、琉生さんにとても助けられた。もう十分がんばっている、大丈夫、ゆっくりでいいって言ってくれたあの言葉にこれまで何度も励まされた。忘れられない大切な思い出で……いつかもう一度会いたいって願っていた」
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