婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
父を失った悲しみと母や妹、Contrailをひとりで引受け背負わなければと重責に押しつぶされそうになっていた。

そんな私を琉生さんは救ってくれた。

感謝こそすれ、気味悪いなんて絶対に思わない。

キーホルダーを保管して、私を捜してくれていたのもとても嬉しい。

正直な想いを伝えたところ、彼が嬉しそうに眦を下げる。

知ったばかりの事実と彼の表情、想いが嬉しくて温かな気持ちで心が満たされていく。

安心した途端、今さらながら少し前の不安を思い出して視界が滲む。


「私、さっき、想う人がいることに物わかりのいい言い方をしたけれど、やっぱりずっと怖くて……っ」


「……黙っていて苦しませて悪かった。もう隠し事は絶対にしないと約束する」
 

そう言って、私のこめかみ、目尻に唇で触れる。


「泣かないで」
 

ゆっくりと顔を傾けた琉生さんが、私の唇に自分のものをそっと重ねた。

突然のキスに驚く私を宥めるように短く啄むような口づけを幾度となく繰り返す。

ゆっくり目を開けた彼が至近距離で私を見つめる。


「好きだ」
 

吐息の触れる距離でつぶやいた琉生さんがもう一度私に口づける。

今度は長く、呼吸さえものみ込まれそうな情熱的なキスだった。

角度を変えて繰り返されるキスに、鼓動が大きな音を立てる。
 
何度も口づけを交わし、最後に名残惜しそうに下唇を甘噛みして離れた。

甘いキスに力が抜けたうえ、羞恥もあり彼の胸元に倒れ込むように顔を埋める。
 
しっかり私を受け止めた琉生さんが熱くなった私の耳元でささやく。
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