婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
「くれぐれも無茶はしないように」
 

そう言って、彼がギュッと私を抱きしめた。

伝わる温かさに嬉しさと離れるさみしさを感じつつ、うなずく。

その後改めて、挙式などはおいおい話し合うといった諸々の思いつく事柄を話し合っていたところで出勤時間が迫ってきたため、相談を切り上げてベッドを出た。

私が先に家を出るため、慌ただしくふたりで食事をとって身支度を調えた。


「フライト気をつけて」


「ありがとう、蕗も道中気をつけて。俺が帰宅したら寝室は一緒にしような」
 

見送りながら完璧な笑顔でさらりと言われて、驚く。


「四日後に会えるのを楽しみにしている」
 

異を唱える間もなく額に小さくキスを落とした彼に送り出され、頬が熱くなるのを必死に抑えながら歩き出した。

出勤し、上司に結婚報告を済ませた後、同僚たちにも簡単に伝えた。

予想どおりに驚かれ、さらに琉生さんが伴侶と知ってもう一度びっくりされた。

勤務中なので私的な事柄を細かく話さずにいたが、退勤後に詳しく聞くからと息巻かれた。

親友には通勤中、事前にメッセージで伝えたけれど、同僚たち同様に後日なれそめを聞くからと返信が来ていた。

彼の人気のすさまじさを改めて実感し、なれそめなどの相談をしておいてよかったと心底思った。
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