婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
『そもそもどうして交際をずっと俺たちに隠していた? 遺言の話が出たときに結婚前提の恋人の存在を言えばよかっただろ。それを遺言で母親たちが揉めだした頃を見計らったようにお互い惹かれ合ったから結婚するっておかしくないか?』


「なにが、言いたいの……?」


『Contrailを手に入れるためにお前は偽装結婚したんじゃないかって話だ。しかもあの男が蕗に三年前の話をしたのも婚姻届提出の後だろ。蕗が簡単に逃げられないとわかったから話したんじゃないのか?』
 

従弟の指摘にスマートフォンを握る指先が冷たくなり、血の気が引く。


「琉生さんはそんなひどい真似をするような人じゃない。勝手な想像で決めつけないで」
 

気を抜けば震えそうになる声で必死に反論する。

あのときの琉生さんは嘘をついているようには見えなかったし、なにより私は彼を心から信じている。

最初は契約結婚だったかも知れないが、今はきちんと想いが通じ合っているのだから。


『騙されていないと言い切る自信があるのか? だったら俺も調べさせてもらう。万が一お前たちが遺産相続のために結婚したのなら問題だからな。母にも遺言執行人も伝えるからそのつもりで』


「やめて、なんでそんなこと……!」


自分が過去に提案してきた内容を忘れたかのように、とんでもない発言をする瑛斗を必死で止める。
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