婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
『お前が心配なんだ。大事な蕗がみすみす騙されて傷つく姿を見たくない。あの副操縦士についても徹底的に調べてやる。このままではすまさない』
 

挑戦的な言葉を残して、一方的に通話が切れた。
 
不安が募るが、これ以上琉生さんを実家の面倒ごとに巻き込みたくない。

とはいえ、話さないわけにはいかないだろう。
 
その後、迷ったが、瑛斗がひかりさんに話す可能性を否めず、母には報告しておくべきと思い連絡した。

元々が契約結婚だった点は触れずに、先ほどの瑛斗の発言を伝えた。

もちろん幼い頃と三年前の件も説明した。


『――そう、瑛斗くんが……蕗が心配なんでしょうねえ』


「心配っていうか嫌がらせよ」


『なんでもかんでも蕗に背負わせたくなかったんじゃないかしら。方向性がちょっとずれている気はするけどね』
 

なぜか母はうろたえもせず、意見を口にする。


『事情はわかったわ。姉さんとは近々相続手続きも含め話をするからそのときに瑛斗くんについてもそれとなく聞いてみる』


「うん、ごめんね」


『いいわよ、それより向くんにもきちんと話しなさいよ』
 
母の忠告に返答し、電話を終えた。

ふたりとの会話を終えた時点でずいぶん疲れてしまった。

すぐにでも休みたいのに頭が冴えてしまい、なかなか寝付けなかった。
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