婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
過去に熱狂的なファンの方々が琉生さんの住居などを探っていた時期もあったそうだ。

さすがに会社がファンの方々に常識的な対応をお願いし、万が一の際の警告を兼ねた声明を発表したという。

そのせいもあり、彼の住所など個人情報は厳重に管理されているそうだ。


「それもあるが、なにより周囲を刺激して蕗に影響や危険が及ぶ可能性を避けたい。だからほかの方法を考えよう。いつまでも相続手続きを長引かせたり放置するわけにもいかないだろ」


「私が直接瑛斗に会って話すのは……」


「それなら俺から説明する。もしくはふたりで会いに行こう。心配だし、ひとりで対応しないでほしい」


懇願するように言われて、それ以上強くは言えなかった。
 
瑛斗からは相変わらず連絡がないまま、半月ほどが過ぎた。
 
社内で琉生さんは私との結婚をとくに隠しはせず、私もそれにならっていた。

グループ会社とはいえ、一応所属が異なるため最初こそずいぶん驚かれていたが、少しずつ認知されるようになってきた。

社外、お客様に対しては結婚を肯定するのみに留めるという対応が主となっていた。

琉生さんと会社からは念のため、しばらくは私も気をつけるように言われている。

琉生さんは私に影響が及ばないかをとても心配してくれていた。

面と向かって誰かからなにか言われたわけでもないので大丈夫だと伝えたが、普段以上に気を張って勤務している。
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