婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
仕事が休みの今朝は午前八時頃に自宅を出て、実家に向かった。

ひとり暮らしをしているマンションから実家までは電車で三十分くらいだ。


「お母さん、おはよう」


住居側のドアを開けて中に入り、声をかけた。

すると、カフェスペースのほうから母の声が聞こえた。


「仕事がお休みの日にごめんね。どうしても今日は皆の都合が悪くて」


バイトの学生たちが試験や用事などで午前中都合がつかなかったらしい。

私は就職後も時折休日や繁忙時、人手不足の際などはカフェを手伝っている。


「とくに予定もなかったから気にしないで。常連さんたちに会えるのは嬉しいし、お母さんは無理しそうで心配だから」


私の返答に苦笑しながらも、母は開店準備を手際よく進めていく。

私も手洗い、消毒など身支度を調え、母に確認しつつ手伝う。

そうこうしているうちに開店時間となった。

顔見知りの来店客に挨拶をしながら、いつものように注文を受ける。

Contrailにはカウンター席と四人掛けのテーブル席が五つある。

今はそれほど混雑していなかったので店内一番奥のテーブル席の注文をカウンター内の母に伝えた後、足りなくなった材料の補充と確認のため住居スペース近くにある収納室へと向かった。
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