婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
「あ、あの、何度も申し訳ございません……助けていただいてありがとうございます。この間もご迷惑をおかけいたしまして……」


「カフェの一件なら君は悪くないから謝る必要はない。悪いのは俺だ。その話と今の男性との件も詳しく聞きたいから時間をもらえないか? 俺は降機したばかりだから、もし体調も含め可能なら、少し待っていてもらえないだろうか」


言われて、制服姿の彼を改めて見つめる。

向さんはフライトを終えオフィスに戻る途中で私を見かけ、助けてくれたそうだ。

偶然にも私が搭乗していた便を担当していたらしい。

状況を聞いて一気に血の気が引く。


「勤務中に申し訳ございません……! お疲れでしょうし私はもう大丈夫です。先日と今日の件は後日改めて謝罪とお礼をいたしますので……」


焦りと動揺で早口になりつつも、伝えたい事柄を口にして頭を下げた。

一度ならず二度も迷惑をかけてしまい心苦しい。


「蕗、顔を上げて」


再び名前を呼び捨てにされ、驚いて頭を上げる。

鼓動がひとつ大きな音を立てた。


「俺たちは今、一応恋人の設定だから。まだこの近くに君の従弟が留まっている可能性もあるし、今ひとりになるのは危ない。そういった件も含めて話したいんだ」


周りの状況を確認しつつ、彼が口にする。
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