婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
◆◆◆
入浴を終えて蕗が休んでいる部屋へと足を進める。
数回ドアをノックして声をかけるが反応がなく、眠っているのかと考えたが具合が悪くなっていたらと心配になった。
「……蕗、開けるよ」
もう一度声をかけ、扉を開ける。
簡易照明に照らされた室内に足を踏み入れ、穏やかな表情で眠っている姿を目にして安心した。
少し乱れた布団を直し、枕元に流れる髪をそっと掬う。
まさか彼女が思い出の女の子だとは思いもしなかった。
持病があった俺の母は、妊婦健診を自宅から離れたかかりつけの総合病院で受診していた。
通院はもちろん、診察に時間がかかるので実家や父の都合がよくない際は、俺を連れて受診するのが常だった。
とはいえ、病院内は混雑しており幼い俺の退屈などを考え、病院近くの飲食店などで順番待ちをする場合が多かった。
そんな母が偶然入ったカフェがContrailだった。
穏やかな雰囲気と店内に充満する甘い香りが印象的だった。
通院のたびに色々なカフェを利用していた母もContrailを気に入ったようでよく来店するようになった。
母はオーナー女性の温かな人柄に癒やされ、俺はオーナーの娘の少女に会うのが楽しみだった。
当時、少女の名前を聞いたかどうかは覚えていない。
彼女は見ず知らずの俺に物怖じせずに話しかけ、俺の退屈を見抜いたかのように一緒に店内でできる遊びに誘ってくれた。
なぞなぞ、折り紙、俺たちに年の差はあったけれど、ともに過ごす時間はとても楽しかった。
入浴を終えて蕗が休んでいる部屋へと足を進める。
数回ドアをノックして声をかけるが反応がなく、眠っているのかと考えたが具合が悪くなっていたらと心配になった。
「……蕗、開けるよ」
もう一度声をかけ、扉を開ける。
簡易照明に照らされた室内に足を踏み入れ、穏やかな表情で眠っている姿を目にして安心した。
少し乱れた布団を直し、枕元に流れる髪をそっと掬う。
まさか彼女が思い出の女の子だとは思いもしなかった。
持病があった俺の母は、妊婦健診を自宅から離れたかかりつけの総合病院で受診していた。
通院はもちろん、診察に時間がかかるので実家や父の都合がよくない際は、俺を連れて受診するのが常だった。
とはいえ、病院内は混雑しており幼い俺の退屈などを考え、病院近くの飲食店などで順番待ちをする場合が多かった。
そんな母が偶然入ったカフェがContrailだった。
穏やかな雰囲気と店内に充満する甘い香りが印象的だった。
通院のたびに色々なカフェを利用していた母もContrailを気に入ったようでよく来店するようになった。
母はオーナー女性の温かな人柄に癒やされ、俺はオーナーの娘の少女に会うのが楽しみだった。
当時、少女の名前を聞いたかどうかは覚えていない。
彼女は見ず知らずの俺に物怖じせずに話しかけ、俺の退屈を見抜いたかのように一緒に店内でできる遊びに誘ってくれた。
なぞなぞ、折り紙、俺たちに年の差はあったけれど、ともに過ごす時間はとても楽しかった。