婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
『じゃあ、早くここでの生活と俺に慣れて。後は……そうだな、背が届かないとか使いにくい収納があれば変えるから教えてほしい』


『そんなの、全部私に都合がいいだけじゃ……』


『これからはここが蕗の自宅になるんだから、当然のことだ。訪問客は滅多に来ないが、万が一夫婦の距離感を疑われたら困るだろ?』


綺麗な笑顔で言われ、反論できなかった。

ちなみにベッドは、引っ越し時に運び込むまでは簡易ベッドを使わせてもらっている。

新しいものを購入しようかと言われたがさすがに断わった。

そこまで甘えられない。

私も働いており、潤沢ではないにしろ貯金もある。


その後、予定を合わせ、八月に入ってすぐ琉生さんのご両親への挨拶に伺った。

大企業のトップである彼の父は多忙なためお会いするまで、時間がかかってしまった。

その前に彼の弟の昴くんを紹介され、挨拶をした。

琉生さん同様の端正な容貌にイケメン兄弟だなと改めて感じた。

昴くんは突然の兄の結婚に驚きながらも祝福してくれた。

琉生さんから心配不要と言われていたけれど、交際ではなく突然の結婚報告を、ご両親は不快に思われていないか不安で緊張していた。

そんな私の心情を察してくださっていたのかおふたりは優しく朗らかに私を迎え入れ、結婚を祝福してくださった。

琉生さんとよく似た面差しのお義母様からはショッピングに誘っていただいた。

息子ふたりは素っ気なくて、買い物がとても味気ないそうだ。

お義父様は快く証人欄に記入してくださり、琉生さんとお互いの予定を確認後提出しようと決めた。
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