それは、誰にもわからない。
なんで嫌われるかわからない - 濱田葵
あたしって、気づいたら友達いなくなってんだよな。
最初は小学一年生。
未音と那月から避けられた時から、なんでだろうってずっと考えてたけど。
どうしてもわからない答えを誰かに聞こうにも、そもそも「私ってなんで友達いなくなるの?」なんて口が裂けても聞くことができない。
そもそも誰に聞くんだって、自分で考えながら笑った。
…濱田葵は気づかない。
「空気が読めない」ことに。
「空気って、読むものじゃなくて吸うもんでしょ?」なんてへらりと笑う葵は、きっと言われても気づかないだろう。
「葵って、子供っぽいよね。あ、いい意味でね?」
馬鹿にされるように「ははっ」と笑われてから、いつの間にか那月たちは離れていった。
クラスが分かれてから自然と友達関係は消滅していったのに、葵は今でも那月たちと仲良くしたいと思っている。
「ねぇ、那月、…!」
「でさぁ〜?」
聞こえてない、わけじゃない。
でも“私の声が聞こえていないんじゃないか”と錯覚するほどに、真藤那月は葵の言葉を全て無視してくる。
それは、メンタルが強い方である葵の心を、日々に削ぎ落としていった。
「…嫌われてる、?」
わからない。
でも確実に、那月は葵の心を削ぎ落とし、葵が暗闇に落ちる原因となっている。
「…ねぇ、深谷さん」
教えてください。
なんで私は嫌われてるんですか。
「んー?」
いつも通り明るいその声に、疑問をぶちまける…前に。
「質問、いい?」
「…先に私の質問に答えてくれるなら、どうぞ」
彼女は少しも笑顔を崩さずに、葵に質問を投げた。
“なんでいつも、笑ってられるの?”
皮肉でも何にでもない、純粋な疑問と捉えた葵は、ただ考えて。
「…笑いたい時に笑う。
ただ、笑うくらいハッピーなことが多いだけ」
ふっ、と、軽く俯いた水月は「ありがとう」と薄い笑みを貼り付ける。
長いまつ毛が氷のように、目の前にいるはずの水月が、不意に遠く見えた。