役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
アルフォンスが目線で示したのは、不作続きと聞く畑だった。
地面はひび割れ、植えられた作物はどれも力なく地面に倒れている。それはこの畑だけではなく、一帯の地面が同じような状況だ。
「なんて酷い……まるで日照りにあったような乾き具合ですね。水やりはどうなっているのかしら?」
メリッサはドレスの裾など気にせずしゃがみ、手のひら全体で触れるように地面に手を置いた。
土地からの魔力は太陽の日差しのように温かく、均一に広がっているのを感じられる。メリッサがわかる範囲内では、魔力に不純なものはみられず、単純な魔力枯渇だったとしても、ここまで土地が割れるほどの悪化はありえない。
となると、魔力を補う要素が顕著に欠けているのではないか。メリッサは近くにいた村人に問う。
「は、はい。いつもと同じように土の表面が濡れるまでしっかりと水やりをしていました。雨の量も例年と変わらないと思います」
「水はどこから汲んできているの? 水魔法を使える人は?」
「川の水を運んでいました。この村には水魔法どころか、魔法が使える者はほとんどいないので、ほとんど手作業です。汲み上げる魔道具もあったのですが、壊れたタイミングと不作が続いていたこともあって、その……」
そこまで言いかけて、彼は目線を逸らした。おそらく、魔道具が壊れたのと、不作続きで喧嘩が勃発している件が関係しているのだろう。
ケケ村に限らず、ヴィンセント辺境伯領は元々、魔法を持たない者たちの流刑地とされてきた。当時から土地の魔力の加護があったとはいえ、扱いがわからず手持ち無沙汰状態が続いていたのだが、次第に魔石や魔道具が普及し、今では魔力を持って生まれ、魔法を使える者も領地に現れるようになっていった。
しかし、ケケ村で生まれ育った若者たちの多くは働き口を求め、領都や王都へ行ったきり帰ってこないことが多いという。
今この村で暮らす人々の多くは、魔法はおろか魔力を保持していても使い方がわからない者や、まったく魔力がない者たちばかりだと聞く。
すると、村人の一人が「そういえば」となにか思い出したように話し始めた。
「山から引いている川の水が、以前より減っているような気がします。自然の摂理だと思って仕方がないことかなと思っているのですが……」
「水路を見てみてもいいかしら? ……ここもだいぶ距離があるわね」
「舗装するだけで金がかかるので、自身の足で踏み固めて舗装しています。川からホースやパイプを繋げようとしても、畑が広いので奥まで届かないのです」
この村の道はあまり整地されていないせいか、ところどころででこぼことした道なりが目立つ。メリッサが川沿いへ向かいながら、歩く度にブーツがサクサクと音が鳴るのが聞こえてくる。
地面はひび割れ、植えられた作物はどれも力なく地面に倒れている。それはこの畑だけではなく、一帯の地面が同じような状況だ。
「なんて酷い……まるで日照りにあったような乾き具合ですね。水やりはどうなっているのかしら?」
メリッサはドレスの裾など気にせずしゃがみ、手のひら全体で触れるように地面に手を置いた。
土地からの魔力は太陽の日差しのように温かく、均一に広がっているのを感じられる。メリッサがわかる範囲内では、魔力に不純なものはみられず、単純な魔力枯渇だったとしても、ここまで土地が割れるほどの悪化はありえない。
となると、魔力を補う要素が顕著に欠けているのではないか。メリッサは近くにいた村人に問う。
「は、はい。いつもと同じように土の表面が濡れるまでしっかりと水やりをしていました。雨の量も例年と変わらないと思います」
「水はどこから汲んできているの? 水魔法を使える人は?」
「川の水を運んでいました。この村には水魔法どころか、魔法が使える者はほとんどいないので、ほとんど手作業です。汲み上げる魔道具もあったのですが、壊れたタイミングと不作が続いていたこともあって、その……」
そこまで言いかけて、彼は目線を逸らした。おそらく、魔道具が壊れたのと、不作続きで喧嘩が勃発している件が関係しているのだろう。
ケケ村に限らず、ヴィンセント辺境伯領は元々、魔法を持たない者たちの流刑地とされてきた。当時から土地の魔力の加護があったとはいえ、扱いがわからず手持ち無沙汰状態が続いていたのだが、次第に魔石や魔道具が普及し、今では魔力を持って生まれ、魔法を使える者も領地に現れるようになっていった。
しかし、ケケ村で生まれ育った若者たちの多くは働き口を求め、領都や王都へ行ったきり帰ってこないことが多いという。
今この村で暮らす人々の多くは、魔法はおろか魔力を保持していても使い方がわからない者や、まったく魔力がない者たちばかりだと聞く。
すると、村人の一人が「そういえば」となにか思い出したように話し始めた。
「山から引いている川の水が、以前より減っているような気がします。自然の摂理だと思って仕方がないことかなと思っているのですが……」
「水路を見てみてもいいかしら? ……ここもだいぶ距離があるわね」
「舗装するだけで金がかかるので、自身の足で踏み固めて舗装しています。川からホースやパイプを繋げようとしても、畑が広いので奥まで届かないのです」
この村の道はあまり整地されていないせいか、ところどころででこぼことした道なりが目立つ。メリッサが川沿いへ向かいながら、歩く度にブーツがサクサクと音が鳴るのが聞こえてくる。