役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
 翌朝、早速畑の水やりを始めようと外に出ると、村人の多くが川岸に集まっていた。メリッサも気になって近寄っていくと、村人の一人が気付いて興奮気味に手招いた。

「おお、メリッサ様! おはようございます」
「おはよう。どうしたの?」
「水が、川の水が、戻ってきたのです! 水路の水かさも以前よりも増していて……!」

 人混みをかき分けて見ると、昨日よりも流れてくる水の量が増えているのが目に見えてわかった。おそらく、山に入ったアルフォンスたちが何かしたのだろう。
 村人たちと喜んでいると、連絡係を担っていたジェナが慌てた様子で駆け寄ってきた。

「お嬢様、クロードさんたちが戻ってきました! それとこれ……」
「……わかったわ。村長、一緒に来てくれます? 皆さんは昨日の続きをお願いします!」

 ジェナからこそっと渡されたメモに目を通すと、メリッサは村長を連れて言われた通り村の入口にある門へ向かった。
 すでにアルフォンスとクロード、そして先行していた騎士団員たちが到着していた。土汚れ程度で怪我は一切していないようで、メリッサはほっと胸をなでおろす。

「殿下、ご無事で何よりです」
「ああ。思った通り、水源を魔法によって流れてくる水を制限されていた。手こずったが魔法の解除のついでに、水路に悪意のあるものを寄せ付けないよう細工もしておいた。村の様子はどうだ?」
「おかげさまで水位が戻ったようです。畑は一日で元通りとまではいきませんが、今は魔法で水やりを進めつつ、効率的に水を撒く魔道具作りに全員で取り組んでいるところですわ」
「魔道具……そうか、まだ手伝えることがあるだろうか」
(王弟殿下が村人と魔道具作り……したいんだろうなぁ)

 彼が魔道具マニアという話は聞いたことがないが、内心ソワソワしているのが無表情でも滲み出ている。可愛らしい一面もあるのだなどと思っていると、すぐ近くでうめき声が聞こえた。どうやら足元の方からだ。

「……ああ、そうだ。わざわざここまで来てもらった理由を忘れていた。クロード、頼む」
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