役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
「あなた、さっきから女を下げる発言ばかりしているけれど、妙な教養を得ている私も同類ってことよね。怒ったりしないから、私にも同じように言ってごらんなさいな」
「い、いえ! そんなことは」
「なら、ろくに果樹園を知らないあなたが出しゃばらないでくださる? 迷惑だわ」
ジョンが視線をそらして黙ったのを確認すると、今度はソフィアと向き合う。
「ソフィア。今まで誰もがやって失敗してきた結果を覆したいなんて、並大抵のことではないわ。それはわかっているのよね?」
当人は額や頬からダラダラと汗が伝い、口元をぎゅっと固めて震えてながら、メリッサの問いに首を縦に振った。
すべて撤去するには時間がかかるし、何より勿体ない。
しかし、これがもし、特産品に作り変えることができたなら。国内へ売り出すチャンスだとしたら、国内での厄介者のイメージも変えられるはずだし、コロンの実をむやみに伐採する必要も無くなる。
そこまで見越してソフィアは話を切り出したのだろう。
辺境伯令嬢を利用して逆転劇を企もうなんて、普通ではありえないことなのだから。
「自分たちには資金がないから、他人にやらせて負担を減らそうという魂胆を、まさか辺境伯家相手にやろうなんて――嫌いじゃないわ」
メリッサの口元がにやりと歪む。その表情にソフィアは身体をビクッと大きく震えたが、すぐに呆気を取られたかのように「へ?」と気の抜けた声を漏らした。
利用できるものは何でも使うスタンスは自分だけではない。むしろ利用されそうになっている今、受けて立つこと以外の選択肢はメリッサの頭にはないのだ。
「まずは数を減らしましょう。奥のほうが若い木かしら? さっき見て回ったら虫食いの木がいくつかあったから、それは木材や薪へ回すとして、実は熟しているものすべて収穫してくれる? クロード、待機させていた団員たちを呼んで頂戴。総力戦で行くわよ!」
「かしこまりました」
「め、メリッサ様……? どうして……」
「貴族としては知らないけれど、自由な発想となんでも利用する度胸は評価に値するわ。そしてそれを有効活用できる人材――私がいるじゃない。今までの男爵夫人がずっと記録を続けてくれているコロンの生態と構造をまとめた資料があれば、私の魔法で抜いてあげられる」
そう言ってメリッサの手には、ソフィアが屋敷で見せてくれたボロボロの紙の束があった。
ここに着くまでの馬車の中で記憶し、すべてメリッサの頭の中に記憶されている。
「あなたたちがどれだけこの果樹園を大切にしてきたのかがすごく伝わってきたわ。どんな手を使っても守りたいと強く思い、行動に移すのは良いことよ。家や作業員はもちろん、領地にとってもね」
そう告げると同時に、クロードの合図で団員たちが果樹園内に入ってきた。辺境騎士団からメリッサの改革のためだけに動ける部隊として編成された彼らは、生家が農業を営んでいる者や魔道具の取り扱いに長けた者ばかりだ。少人数ではあるが、力仕事はお手の物である。
メリッサは収納魔法からてきぱきと収穫用の籠や折れた木をまとめるためのロープなどを引っ張り出し、未だクロードに拘束されているジョンに向かって笑顔で続けた。
「手紙を一通したためるから、少し時間を頂戴。その間に皆で撤去作業を進めてね。あ、それと一本だけ残してくれると嬉しいわ。私、果物狩りって初めてなのよ!」
「い、いえ! そんなことは」
「なら、ろくに果樹園を知らないあなたが出しゃばらないでくださる? 迷惑だわ」
ジョンが視線をそらして黙ったのを確認すると、今度はソフィアと向き合う。
「ソフィア。今まで誰もがやって失敗してきた結果を覆したいなんて、並大抵のことではないわ。それはわかっているのよね?」
当人は額や頬からダラダラと汗が伝い、口元をぎゅっと固めて震えてながら、メリッサの問いに首を縦に振った。
すべて撤去するには時間がかかるし、何より勿体ない。
しかし、これがもし、特産品に作り変えることができたなら。国内へ売り出すチャンスだとしたら、国内での厄介者のイメージも変えられるはずだし、コロンの実をむやみに伐採する必要も無くなる。
そこまで見越してソフィアは話を切り出したのだろう。
辺境伯令嬢を利用して逆転劇を企もうなんて、普通ではありえないことなのだから。
「自分たちには資金がないから、他人にやらせて負担を減らそうという魂胆を、まさか辺境伯家相手にやろうなんて――嫌いじゃないわ」
メリッサの口元がにやりと歪む。その表情にソフィアは身体をビクッと大きく震えたが、すぐに呆気を取られたかのように「へ?」と気の抜けた声を漏らした。
利用できるものは何でも使うスタンスは自分だけではない。むしろ利用されそうになっている今、受けて立つこと以外の選択肢はメリッサの頭にはないのだ。
「まずは数を減らしましょう。奥のほうが若い木かしら? さっき見て回ったら虫食いの木がいくつかあったから、それは木材や薪へ回すとして、実は熟しているものすべて収穫してくれる? クロード、待機させていた団員たちを呼んで頂戴。総力戦で行くわよ!」
「かしこまりました」
「め、メリッサ様……? どうして……」
「貴族としては知らないけれど、自由な発想となんでも利用する度胸は評価に値するわ。そしてそれを有効活用できる人材――私がいるじゃない。今までの男爵夫人がずっと記録を続けてくれているコロンの生態と構造をまとめた資料があれば、私の魔法で抜いてあげられる」
そう言ってメリッサの手には、ソフィアが屋敷で見せてくれたボロボロの紙の束があった。
ここに着くまでの馬車の中で記憶し、すべてメリッサの頭の中に記憶されている。
「あなたたちがどれだけこの果樹園を大切にしてきたのかがすごく伝わってきたわ。どんな手を使っても守りたいと強く思い、行動に移すのは良いことよ。家や作業員はもちろん、領地にとってもね」
そう告げると同時に、クロードの合図で団員たちが果樹園内に入ってきた。辺境騎士団からメリッサの改革のためだけに動ける部隊として編成された彼らは、生家が農業を営んでいる者や魔道具の取り扱いに長けた者ばかりだ。少人数ではあるが、力仕事はお手の物である。
メリッサは収納魔法からてきぱきと収穫用の籠や折れた木をまとめるためのロープなどを引っ張り出し、未だクロードに拘束されているジョンに向かって笑顔で続けた。
「手紙を一通したためるから、少し時間を頂戴。その間に皆で撤去作業を進めてね。あ、それと一本だけ残してくれると嬉しいわ。私、果物狩りって初めてなのよ!」