役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
それから、数日をかけて果樹園の整備が行われた。
メリッサと団員の浮遊魔法によって、不揃いな木々を地面から離し、木材に変えられていく一方で、男爵家で雇っている作業員たちによってコロンの収穫作業を進めていく。
地中に埋まっている根が一つでも残っていれば、土地の魔力の作用によって新たに芽が出てしまう。そのため、丁寧に掘り出して除去していく必要があり、時間をかけて慎重に進めていった結果、植わっていた五十本のうち、三十八本を除去することに成功した。残りの十五本は実を成したばかりのものや、若すぎて木材に回すには耐性が弱いものになる。
生い茂っていた倉庫の裏手は、この数日で綺麗に整備されていった。
撤去作業が落ち着き始めると、メリッサは他の騎士団の厚意で果物狩りに移り、腰につけた籠がいっぱいになるまで詰めこんだ。
どの実も均一な大きさで、歪な形のものはほとんど見当たらない。土地の魔力のコントロールが、果物にも影響されているようだ。
「本当にすごい量ね……確かにこれだけあったら処理も困ってしまうわ」
「メリッサ様、お疲れになっていませんか? 少し休憩されたほうが……」
収穫した実を、仕分け用の籠に移そうとやってきたメリッサに、ソフィアが問う。
ソフィアの仕事は、成熟したものとそうでないものを分ける作業。魔道具が普及されているものの、人の手による仕分けのほうが確実に良いものを選ぶことができる。
「もうすぐ終わるから大丈夫よ。ところでその作業、どうやって見分けているの? コツとかあるのかしら」
「先代は実の中に流れる魔力で判断していたのですが、私は魔力を持っていないので、手のひらに置いたときの重みや、表面の艶を見て判断しています。これがなかなか大変で、慣れるまでに時間がかかりました」
フフッと小さく笑みを浮かべながら、ソフィアは次々と実を見極め、籠に入れていく。メリッサが集めてきた実も、あっという間に仕分けてしまった。
「メリッサ様も魔力に惹かれて実を選ばれたのですね。どれも良い実です」
「わかるの?」
「ええ。魔力なんてなくても、先代の夫人からいただいた技術は誤魔化せませんから」
ソフィアの表情はどこか活き活きとしていて、メリッサは不思議と口元が緩んだ。
それはケケ村の魔道具作りの職人たちと同様に、ソフィアも己の持つ能力を過信せず、ただ純粋に自分の軸として持っているようだった。
「それだけの技量を持ってしても、彼に怯えているのはなぜ? 魔力がないのは、彼の方よね」
メリッサの問いに、ソフィアは思わず手を止めた。先程の明るい表情から一転、困ったように眉をひそめる彼女は、別人のようだった。
メリッサと団員の浮遊魔法によって、不揃いな木々を地面から離し、木材に変えられていく一方で、男爵家で雇っている作業員たちによってコロンの収穫作業を進めていく。
地中に埋まっている根が一つでも残っていれば、土地の魔力の作用によって新たに芽が出てしまう。そのため、丁寧に掘り出して除去していく必要があり、時間をかけて慎重に進めていった結果、植わっていた五十本のうち、三十八本を除去することに成功した。残りの十五本は実を成したばかりのものや、若すぎて木材に回すには耐性が弱いものになる。
生い茂っていた倉庫の裏手は、この数日で綺麗に整備されていった。
撤去作業が落ち着き始めると、メリッサは他の騎士団の厚意で果物狩りに移り、腰につけた籠がいっぱいになるまで詰めこんだ。
どの実も均一な大きさで、歪な形のものはほとんど見当たらない。土地の魔力のコントロールが、果物にも影響されているようだ。
「本当にすごい量ね……確かにこれだけあったら処理も困ってしまうわ」
「メリッサ様、お疲れになっていませんか? 少し休憩されたほうが……」
収穫した実を、仕分け用の籠に移そうとやってきたメリッサに、ソフィアが問う。
ソフィアの仕事は、成熟したものとそうでないものを分ける作業。魔道具が普及されているものの、人の手による仕分けのほうが確実に良いものを選ぶことができる。
「もうすぐ終わるから大丈夫よ。ところでその作業、どうやって見分けているの? コツとかあるのかしら」
「先代は実の中に流れる魔力で判断していたのですが、私は魔力を持っていないので、手のひらに置いたときの重みや、表面の艶を見て判断しています。これがなかなか大変で、慣れるまでに時間がかかりました」
フフッと小さく笑みを浮かべながら、ソフィアは次々と実を見極め、籠に入れていく。メリッサが集めてきた実も、あっという間に仕分けてしまった。
「メリッサ様も魔力に惹かれて実を選ばれたのですね。どれも良い実です」
「わかるの?」
「ええ。魔力なんてなくても、先代の夫人からいただいた技術は誤魔化せませんから」
ソフィアの表情はどこか活き活きとしていて、メリッサは不思議と口元が緩んだ。
それはケケ村の魔道具作りの職人たちと同様に、ソフィアも己の持つ能力を過信せず、ただ純粋に自分の軸として持っているようだった。
「それだけの技量を持ってしても、彼に怯えているのはなぜ? 魔力がないのは、彼の方よね」
メリッサの問いに、ソフィアは思わず手を止めた。先程の明るい表情から一転、困ったように眉をひそめる彼女は、別人のようだった。