役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
「先代の男爵夫人がつけてきた資料はどれも素晴らしいものだった。そして当主不在でも果樹園を切り盛りしていた実績がある。誇っていいことよ。あなたの勇気が、私を動かしたのだから」
「メリッサ様……」
「どのみち、コロンの木があるクラム果樹園には協力してもらわないとね。そうそう、辺境伯家から直々の依頼であれば、補助金も人員補充も出せますよね。叔父様?」
「……なるほどな、それが狙いか。いいだろう、経費はすべて辺境伯家に回してくれ。コロンの実は他の果樹園や農園でも打開策を検討していたところだ」
メリッサは妥協しないこと、そして今の問題を改善策があることすべてを踏まえたうえで、オルディンはこの計画に乗ることを選んだ。
「まずはデーツの栽培方法を確立させろ。ケケ村の村長と連携して、進捗は欠かさず報告を。王家にも逐一報告を上げなければならないからな」
「叔父様……ありがとうございます!」
ぐっと親指を立てるオルディンをよそに、アルフォンスはスッと立ち上がった。
「すまない、そろそろ別件の時間だ。ここで失礼する……しばらくは近隣諸国を視察している。体制が整ったら連絡をくれ。王妃の耳には入れておこう」
そう言って表情を一切変えずにそのまま立ち去る。
この試食の時間も隙を見つけて駆けつけてくれたこともあって、無理強いさせてしまったと申し訳なく思っていたが、想定していたよりも前向きな返答に、メリッサの頬は緩んだ。
そして、ソフィアともう一度向き合う。
「あなたが――いいえ、歴代のクラム男爵夫人が当主を支え、意見してきたことは無駄じゃなかったと証明しましょう。それにエシャール王国の誰もができなかったことを自分でやってやろうなんて、なんだかわくわくしてこない?」
メリッサのまっすぐな瞳に吸い込まれそうになる。彼女が自分を信じているのだと、言葉にしなくても伝わってくるのがわかった。
高い魔力を持つ稀有な存在だからではなく、辺境伯家に媚びを売りたいからではなく――ただ純粋に、彼女の期待に応えたい。そうソフィアは素直に思った。
そして気付けば、口を開いて――。
「――クラム男爵家の名において、必ずや役目を全うしてみせます。メリッサ様」
跪いて告げたソフィアの決意に、メリッサは満足そうに笑みを浮かべたのだった。
「メリッサ様……」
「どのみち、コロンの木があるクラム果樹園には協力してもらわないとね。そうそう、辺境伯家から直々の依頼であれば、補助金も人員補充も出せますよね。叔父様?」
「……なるほどな、それが狙いか。いいだろう、経費はすべて辺境伯家に回してくれ。コロンの実は他の果樹園や農園でも打開策を検討していたところだ」
メリッサは妥協しないこと、そして今の問題を改善策があることすべてを踏まえたうえで、オルディンはこの計画に乗ることを選んだ。
「まずはデーツの栽培方法を確立させろ。ケケ村の村長と連携して、進捗は欠かさず報告を。王家にも逐一報告を上げなければならないからな」
「叔父様……ありがとうございます!」
ぐっと親指を立てるオルディンをよそに、アルフォンスはスッと立ち上がった。
「すまない、そろそろ別件の時間だ。ここで失礼する……しばらくは近隣諸国を視察している。体制が整ったら連絡をくれ。王妃の耳には入れておこう」
そう言って表情を一切変えずにそのまま立ち去る。
この試食の時間も隙を見つけて駆けつけてくれたこともあって、無理強いさせてしまったと申し訳なく思っていたが、想定していたよりも前向きな返答に、メリッサの頬は緩んだ。
そして、ソフィアともう一度向き合う。
「あなたが――いいえ、歴代のクラム男爵夫人が当主を支え、意見してきたことは無駄じゃなかったと証明しましょう。それにエシャール王国の誰もができなかったことを自分でやってやろうなんて、なんだかわくわくしてこない?」
メリッサのまっすぐな瞳に吸い込まれそうになる。彼女が自分を信じているのだと、言葉にしなくても伝わってくるのがわかった。
高い魔力を持つ稀有な存在だからではなく、辺境伯家に媚びを売りたいからではなく――ただ純粋に、彼女の期待に応えたい。そうソフィアは素直に思った。
そして気付けば、口を開いて――。
「――クラム男爵家の名において、必ずや役目を全うしてみせます。メリッサ様」
跪いて告げたソフィアの決意に、メリッサは満足そうに笑みを浮かべたのだった。