役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
《そうそう、先日送っていただいたコロン・ポート、お茶会で大好評だったのよ。ぜひ回して欲しいとお願いされちゃったのだけれど、出荷量を安定させるまで無理はできないわね》
「ええ、せっかく広めていただいて申し訳ないのですが……」
《気にしないで。王都の貴族だけが辺境領の特産品を独占させないことも私の役目よ。そうよね、あなた?》
「ああ、ベラもメリッサも、よくやってくれている」
《あら、珍しい。旦那様が褒めてくださるなんて》
「いつも褒めているだろう?」

 遠距離の別居状態、という形ではあるが、二人の関係性は以前から変わっていない。それこそ政略結婚での初対面だったが、オルディンの一目惚れで猛アプローチを経ての結果だ。
 しかし、イザベラは役回り柄、王都へ出向くことが多い。日に日にその回数が増えていき、家を空けることが多くなったため、今後の領地発展のためを思い、王都に作ったセカンドハウスに移り住むことになった。
 彼女を溺愛するオルディンは少しばかり寂しそうで、この魔道具を通して顔を合わせる度に、騎士団員や領民たちには見せられないほど甘い顔をしている。

《そういえば、来月の夜会にはメリッサちゃんも来てくれるのよね。少し早めにきてフロランス公爵家のお茶会に私と参加しない?》

 イザベラの言う夜会というのは、今から二ヶ月前にアルフォンスが持ってきたあの招待状だ。
 近隣諸国の主賓がエシャール王国の王都に集まって会合を行い、その夜に主要貴族も含めた親睦会という形で夜会パーティーが行われる事になっている。
 その中には、ヴィンセント辺境伯であるオルディンはもちろん、メリッサまでもが招待されていた。
 アルフォンスいわく、メリッサが呼ばれた理由は彼の義姉にあたる王妃陛下にある。大のスイーツ好きで、メリッサが携わったコロン・ポートを大絶賛しており、ぜひ会いたいのだという。裏表のない明るい性格だと噂で聞いたことがあるが、対面したことは今まで一度もない。
 ふと、イザベラが口にした公爵家にメリッサが問う。

「フロランス公爵家って……王妃陛下の生家では?」
《だってメリッサちゃん、王弟殿下のお誘いを一度断ったのでしょう? 夜会で初対面はさすがにやりすぎたかもって改めたそうよ》
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