役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
 フロランス公爵家のお茶会は、メリッサが王都に到着した二日後に開かれた。
 魔道ガラスを使用したサンルームは冬の季節でも室温が保たれており、きらびやかな花々が咲き誇っている。その中に設置されたテーブルの上には、王都で人気の茶菓子や、相性の良く上質な紅茶が用意されていた。
 すでにメリッサたち以外にも招待された貴族がいたようで、どの令嬢もにこやかに談笑してい。

(世界観が……眩しい!)
「メリッサ、少し落ち着きなさいな」

 すべてが鮮明に見えるメリッサが無意識に見回していると、社交モードに切り替わったイザベラに指摘されてしまった。オレンジ色の髪に映えるクラシカルなネイビーのドレス姿は一段と引き締まって見える。メリッサは結い上げた金髪に落ち着いた青のドレス姿。どちらもジェナのセレクトである。

「失礼しました。お茶会は久しぶりでしたので」
「普段通りでいなさい。フロランス夫人は怖い人だけれど味方よ」

 ふふっと微笑むイザベラに安心感を覚えていると、「お待たせいたしました」と声がかかった。入ってきたのはフロランス夫人と――。

「皆様、ごきげんよう。今日はわたくしも参加させていただきますわ」

 にっこりと笑みを浮かべて告げたのは、リコリス・エルシャドール王妃陛下。亜麻色の髪にオレンジがかった瞳の整った容姿。白と緑を貴重としたシンプルなドレスは、金の刺繍が施されている。フロランス夫人の娘とはいえ、まさか王妃が来るとは想定していなかった周囲は騒然とした。

「お、王妃陛下。ごきげんよう。お初にお目にかかります」
「ええ、ごきげんよう」

 リコリスは穏やかに微笑み、静かに応じた。
 ついにメリッサの番になる。キリッとした眼差しが、メリッサに向けられた。

「王妃陛下、ごきげんよう。彼女が我がヴィンセント辺境伯家の養女となりました、メリッサでございます」
「初めまして。メリッサでございます」
「そう……あなたが」

 品定めされるようにじいっと見つめられたかと思えば、突然、メリッサの両手をガシッと掴んだ。

「え……っ!?」
「会いたかったわ、メリッサ!」
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