役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
鋭い眼差しから一転、目をキラキラと輝かせた明るい表情になったリコリスに、周囲は目を見開いた。
普段の凛とした落ち着いた様子の彼女からは想像できないほど、屈託のない笑みだったのだ。それでもずっと彼女の側にいるフロランス夫人と使用人たちは眉をひそめ「またか……」と頭を抱えている。
「リコリス、その距離の詰め方は辞めなさいと何度も……」
「だってお母様、あんなにも美味しくて美しいスイーツを考えた頭脳は国の宝よ! ずっとお話したいと思っていたのに、アルフォンスが全然会わせてくれないんだもの。私、あなたに会える日をずっと楽しみにしていたのよ! この興奮を抑えるなんてできないわ!」
「あ、あの……王妃陛下?」
「さぁ席について。皆も辺境伯領やコロン・ポートの話を聞きたいはずよ。あ、メリッサはわたくしの隣ね」
主催のフロランス夫人を差し置いて、リコリスが仕切って進めていく。席まで指定されてしまった以上、仕方がない。メリッサは意を決して挑んだ。
とはいえ、ベースはお茶会である。世間話をする以外、方法はない。
メリッサは領内の話をしつつ、他の令嬢の話に耳を傾けながら、必要な情報を記憶していく。
一通り話を終えて、テーブルの上に用意されていた茶菓子が減ってきたところで、メリッサは提案した。
「皆様、コロン・ポートを使った新作を持ってきましたの。いかがですか?」
メリッサの合図でテーブルに用意されたのは、コロン・ポートを潰してジャムにし、クッキーに挟んだジャムサンドクッキーだ。会話に混ざりながらも片手間で摘んで食べられるし、挟んであるからジャムがこぼれ落ちる心配もない。
真っ先に手を伸ばしたのは、もちろんリコリスだった。一口で頬張ると、思わず頬を抑える。
「このクッキー、少し塩味があるわね。ジャムの甘さを引き立たせてくれて最高ね」
「美味しいです! でも人気すぎてしばらくお預けなのは残念ですわ……」
「ええ、申し訳ございません……。でも、領民たちに無理はさせたくないのです。ご理解ください」
メリッサがそう言うと、クッキーを頬張る令嬢たちは皆、「仕方ないわよね」「楽しみにしているわ!」と前向きな言葉を送ってくれた。これだけの期待が寄せられるものを作れた、という事実にメリッサは少しばかり誇らしく思えた。領に帰ったら皆に伝えなければ。
――と、次の瞬間。
「皆様、騙されてはいけませんわっ!」
普段の凛とした落ち着いた様子の彼女からは想像できないほど、屈託のない笑みだったのだ。それでもずっと彼女の側にいるフロランス夫人と使用人たちは眉をひそめ「またか……」と頭を抱えている。
「リコリス、その距離の詰め方は辞めなさいと何度も……」
「だってお母様、あんなにも美味しくて美しいスイーツを考えた頭脳は国の宝よ! ずっとお話したいと思っていたのに、アルフォンスが全然会わせてくれないんだもの。私、あなたに会える日をずっと楽しみにしていたのよ! この興奮を抑えるなんてできないわ!」
「あ、あの……王妃陛下?」
「さぁ席について。皆も辺境伯領やコロン・ポートの話を聞きたいはずよ。あ、メリッサはわたくしの隣ね」
主催のフロランス夫人を差し置いて、リコリスが仕切って進めていく。席まで指定されてしまった以上、仕方がない。メリッサは意を決して挑んだ。
とはいえ、ベースはお茶会である。世間話をする以外、方法はない。
メリッサは領内の話をしつつ、他の令嬢の話に耳を傾けながら、必要な情報を記憶していく。
一通り話を終えて、テーブルの上に用意されていた茶菓子が減ってきたところで、メリッサは提案した。
「皆様、コロン・ポートを使った新作を持ってきましたの。いかがですか?」
メリッサの合図でテーブルに用意されたのは、コロン・ポートを潰してジャムにし、クッキーに挟んだジャムサンドクッキーだ。会話に混ざりながらも片手間で摘んで食べられるし、挟んであるからジャムがこぼれ落ちる心配もない。
真っ先に手を伸ばしたのは、もちろんリコリスだった。一口で頬張ると、思わず頬を抑える。
「このクッキー、少し塩味があるわね。ジャムの甘さを引き立たせてくれて最高ね」
「美味しいです! でも人気すぎてしばらくお預けなのは残念ですわ……」
「ええ、申し訳ございません……。でも、領民たちに無理はさせたくないのです。ご理解ください」
メリッサがそう言うと、クッキーを頬張る令嬢たちは皆、「仕方ないわよね」「楽しみにしているわ!」と前向きな言葉を送ってくれた。これだけの期待が寄せられるものを作れた、という事実にメリッサは少しばかり誇らしく思えた。領に帰ったら皆に伝えなければ。
――と、次の瞬間。
「皆様、騙されてはいけませんわっ!」