役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
(気付かないフリをしていた……ううん、私は、気付かないフリをしていたかった)
騙されても、八つ当たりをされても、不名誉な異名をつけられても、持ち前の明るさと行動力でどんな事案も跳ね除けてきた。
母が大好きだった場所を、笑って日々を過ごせる場所にしたい。
自分を受け入れてくれた辺境伯夫妻や使用人たちへ恩を返したい。
この改革を期待してくれるアルフォンスに認めてもらいたい――そんな気持ちがメリッサの中でどんどん大きくなっていく一方で、周囲からの評価が重くのしかかった。
辺境領に新しい風を吹かせるという領民たちからの期待と疑心のプレッシャーに、苦しくて息ができない日もあった。話を聞いてくれない人に苛立ちも覚えたことだってある。
それでもなりふり構わず改革を進めてきたのは、メリッサが自分で起こした行動が正しかったと証明するためだった。
(一人でも大丈夫)
嫁いでいた半年間、気付かれないように情報収集をしていた時だって、自分以外信用できない環境下で確実な証拠を掴んで公にすることができたのだ。
一人でも大丈夫――そう、自分に言い聞かせて、弱い自分を丸め込んだ。
メリッサの瞳が揺れたのを見て、アルフォンスはそっと彼女の手の上に重ね、覗き込むようにしてまっすぐ見据える。
「すべてを一人で抱え込む必要はない。オルディンも辺境伯家の皆が君の味方で、頼ってほしいと自ら申し出ている。彼らに比べたら、俺は力不足かもしれない。隣にいる資格はないかもしれない。――それでも君を、一人にさせたくない。どうか、守らせてくれないか」
(……ああ、なんてずるい人)
これがアルフォンスだけの懇願なら、まだ断れたかもしれないのに。
人の弱みにつけ込んで、欲しい言葉で寄り添おうとするなんて、なんてずるい人なんだろう。
メリッサは言葉にならない声の代わりに、頷いて応える。そして、深呼吸をして一度落ち着かせると、顔をあげた。
「――わかりました。それなら、私のお願いも聞いてくださいますか?」
何かすっきりとした表情で、彼女から告げられたお願いに、アルフォンスは「君らしいな」と呆れたように笑った。
騙されても、八つ当たりをされても、不名誉な異名をつけられても、持ち前の明るさと行動力でどんな事案も跳ね除けてきた。
母が大好きだった場所を、笑って日々を過ごせる場所にしたい。
自分を受け入れてくれた辺境伯夫妻や使用人たちへ恩を返したい。
この改革を期待してくれるアルフォンスに認めてもらいたい――そんな気持ちがメリッサの中でどんどん大きくなっていく一方で、周囲からの評価が重くのしかかった。
辺境領に新しい風を吹かせるという領民たちからの期待と疑心のプレッシャーに、苦しくて息ができない日もあった。話を聞いてくれない人に苛立ちも覚えたことだってある。
それでもなりふり構わず改革を進めてきたのは、メリッサが自分で起こした行動が正しかったと証明するためだった。
(一人でも大丈夫)
嫁いでいた半年間、気付かれないように情報収集をしていた時だって、自分以外信用できない環境下で確実な証拠を掴んで公にすることができたのだ。
一人でも大丈夫――そう、自分に言い聞かせて、弱い自分を丸め込んだ。
メリッサの瞳が揺れたのを見て、アルフォンスはそっと彼女の手の上に重ね、覗き込むようにしてまっすぐ見据える。
「すべてを一人で抱え込む必要はない。オルディンも辺境伯家の皆が君の味方で、頼ってほしいと自ら申し出ている。彼らに比べたら、俺は力不足かもしれない。隣にいる資格はないかもしれない。――それでも君を、一人にさせたくない。どうか、守らせてくれないか」
(……ああ、なんてずるい人)
これがアルフォンスだけの懇願なら、まだ断れたかもしれないのに。
人の弱みにつけ込んで、欲しい言葉で寄り添おうとするなんて、なんてずるい人なんだろう。
メリッサは言葉にならない声の代わりに、頷いて応える。そして、深呼吸をして一度落ち着かせると、顔をあげた。
「――わかりました。それなら、私のお願いも聞いてくださいますか?」
何かすっきりとした表情で、彼女から告げられたお願いに、アルフォンスは「君らしいな」と呆れたように笑った。