役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
夜会会場は王宮の大広間。きらびやかなシャンデリアが彩り、フロアにはすでに多くの貴族が集まっていた。皆が他国だけでなく、上級貴族との繋がりを求めて歓談が始まっており、賑やかな雰囲気だ。
その中を颯爽とやってきたのは、メリッサとアルフォンスだ。互いの色を身に着け、背筋を伸ばした美しい姿勢で闊歩するその姿は、多くの人々の目に止まる。
「おい、王弟殿下の隣にいるのはメリッサ嬢か?」
「あの『貴族潰しの出戻り嬢』の? 確か辺境領の改革を担っていると聞いたが……」
「お二人とも美しいわ。殿下自らエスコートを申し出たって話よ」
「まぁ! なんて羨ましい。でもそうよね、メリッサ嬢が考えたコロン・ポート、とても美味しかったもの。甘い物がお好きな殿下が気になって声をかけてもおかしくはありませんわ」
一部が怪訝そうにメリッサを見てひそひそと話しているが、その一方で明るい笑みを浮かべている者がいた。特に女性が多いようで、中にはフロランス家のお茶会に参加していた令嬢らの姿が見える。
「……殿下、エスコートの話ってわざと広めたのですか?」
「よかったな、断らずに済んで。断っていたら俺たちの評価が一段落ちていたかもしれない」
小声で問うた質問にニヤリとした笑みを浮かべるアルフォンスに、不満が喉から飛び出そうになるのをぐっと堪える。一緒に堕ちようとするのは理解出来ないが、社交界の噂話は一瞬で出回ってしまうことを考えると、この人が敵でなくてよかったと思った。
そうして玉座に座る国王と王妃の前に辿り着く。
王妃であるリコリスがメリッサの姿を見つけると、にこやかな笑みで手を振った。
「国王陛下、王妃陛下。お初にお目にかかります、メリッサ・ヴィンセントでございます」
「よく来てくれた、メリッサ嬢」
国王の一声に顔を上げる。初めて対面した国王は、アルフォンスと同じ銀髪に青い瞳。目元は垂れ下がっていて、柔らかい雰囲気を醸し出している。
「そなたの話はアルフォンスとオルディンから聞いている。先日はリコリスも世話になったな。これからの活躍も楽しみにしているぞ」
「ありがとうございます」
「ねぇメリッサ。あの件について考えてくれました?」
笑みを称えながらリコリスは問う。仕事の場ということもあってか、以前のようなテンションは抑えているようだが、内心わくわくしているのは感じられる。
あの件――メリッサを王宮の女官長へスカウトしたいといった件のことだろう。冗談半分だと思っていたが、どうやら本気だったらしい。
それでもメリッサの心は決まっていた。
「大変ありがたいお話ではありますが……」
「そう、わかったわ。あなたはまっすぐな人なのね。でも私はいつでも大歓迎だから、アルフォンスにいじめられたらわたくしの元へいらっしゃい」
「王妃陛下、冗談はほどほどに」
その中を颯爽とやってきたのは、メリッサとアルフォンスだ。互いの色を身に着け、背筋を伸ばした美しい姿勢で闊歩するその姿は、多くの人々の目に止まる。
「おい、王弟殿下の隣にいるのはメリッサ嬢か?」
「あの『貴族潰しの出戻り嬢』の? 確か辺境領の改革を担っていると聞いたが……」
「お二人とも美しいわ。殿下自らエスコートを申し出たって話よ」
「まぁ! なんて羨ましい。でもそうよね、メリッサ嬢が考えたコロン・ポート、とても美味しかったもの。甘い物がお好きな殿下が気になって声をかけてもおかしくはありませんわ」
一部が怪訝そうにメリッサを見てひそひそと話しているが、その一方で明るい笑みを浮かべている者がいた。特に女性が多いようで、中にはフロランス家のお茶会に参加していた令嬢らの姿が見える。
「……殿下、エスコートの話ってわざと広めたのですか?」
「よかったな、断らずに済んで。断っていたら俺たちの評価が一段落ちていたかもしれない」
小声で問うた質問にニヤリとした笑みを浮かべるアルフォンスに、不満が喉から飛び出そうになるのをぐっと堪える。一緒に堕ちようとするのは理解出来ないが、社交界の噂話は一瞬で出回ってしまうことを考えると、この人が敵でなくてよかったと思った。
そうして玉座に座る国王と王妃の前に辿り着く。
王妃であるリコリスがメリッサの姿を見つけると、にこやかな笑みで手を振った。
「国王陛下、王妃陛下。お初にお目にかかります、メリッサ・ヴィンセントでございます」
「よく来てくれた、メリッサ嬢」
国王の一声に顔を上げる。初めて対面した国王は、アルフォンスと同じ銀髪に青い瞳。目元は垂れ下がっていて、柔らかい雰囲気を醸し出している。
「そなたの話はアルフォンスとオルディンから聞いている。先日はリコリスも世話になったな。これからの活躍も楽しみにしているぞ」
「ありがとうございます」
「ねぇメリッサ。あの件について考えてくれました?」
笑みを称えながらリコリスは問う。仕事の場ということもあってか、以前のようなテンションは抑えているようだが、内心わくわくしているのは感じられる。
あの件――メリッサを王宮の女官長へスカウトしたいといった件のことだろう。冗談半分だと思っていたが、どうやら本気だったらしい。
それでもメリッサの心は決まっていた。
「大変ありがたいお話ではありますが……」
「そう、わかったわ。あなたはまっすぐな人なのね。でも私はいつでも大歓迎だから、アルフォンスにいじめられたらわたくしの元へいらっしゃい」
「王妃陛下、冗談はほどほどに」