役目は終えましたので、好きにしてもいいですよね?〜地味才女の楽しい改革劇〜
 メリッサは拳をぎゅっと固める。何も知らずにカインの思いのままに動かされていたことに腹は立つが、決して自分のした行動が――少しやりすぎたとはいえ――間違っていないとは思っていない。

 しかし、両親を失ったと同時に愛のない結婚をさせられたメリッサの気持ちは?
 ケケ村の不作で仲間割れして、心身ともに疲れてしまった村人たちは?
 魔物の襲来で怯えた領民たちの心は? ――「あなたがいなければ」と、奥にしまっていたどす黒い感情がぐるぐると渦巻いて、喉まででかかっている。

 それでも、メリッサはぐっと堪えた。ここで吐き出したら、カインの思う壺だ。
 これ以上、彼らの思い通りになんてさせてやるものか。

「でも、あなたも彼らと同じよ。誰かの犠牲で成り立つ領地や国に、誰も応えてはくれないわ」
「――ッ!」
「カイン、私はあなたとはこれからも良い友人でいられると思っていた。こんなことをして私を測らなくても、私なら手を貸すって一瞬でも思ったりしなかった?」

 メリッサはじりじりと距離を詰めていく。魔物を誘導し、辺境領を襲わせたのはコモンズ家だが、黒幕はカインだ。

「ルシアン・カイン・サーライト王子殿下。あなたには、我が国とその民に危害を加えようとした容疑があります。国王の前で、あなたの口から説明いただきたいのです。ご同行、いただけますよね?」
「……君は、意外に詰めが甘いんだな」
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