純情*ライアー
◆◇◆
お手洗いの鏡の前で、よれたネクタイを整える。
リップも落ちた。塗り直そう。
ひとつだけある開いた窓から、グラウンドで爽やかな汗を流す運動部員達の声が聞こえる。
戸締りしてあげますか、と窓を閉めて錠をかけた。
出入り口のドアを開けると、ギィ、と軋む古い音。
雨雲のせいですでに暗い人気のない廊下は、私の靴音をやけに大きく響かせた。
(帰ったら宿題してー……。
今日の数学の課題、ちょっと面倒なんだよなぁ。)
窓に滴る雨を見ながら、ぼんやりとそんなことを考える。
楽しく遊んだ後の余韻は、いつも無機質な感じだ。