純情*ライアー
誰もいない教室から、ポツンと残った荷物を持ってまた1人で廊下を歩く。
玄関まで辿り着いて靴を履き替えようとした時、スラッとしたミルクティー色の後ろ姿を見つけた。
「傘、お貸ししましょうか?」
音もなく背後に迫ってひょこ、と顔を覗かせる。
涼しい目が私を捉えるとギョッとして、たちまち子犬顔になった。
「葉すっ……優里さん!なんで?」
「私は野暮用。そちらはなんで?」
淡々と質問返し。
まだ狼狽えてる葵くんは、つっかえながら返事をした。
「俺……は、その、ちょっと呼び出されて……」
「ふーん。愛の告白だ?」
「なんでわかったの!?」
本気で自分のスペックに無自覚なのね。もったいない。
「天下のクズ城葵だからでしょ。」
皮肉って笑えば、葵くんはぐっと黙った。