純情*ライアー

誰もいない教室から、ポツンと残った荷物を持ってまた1人で廊下を歩く。


玄関まで辿り着いて靴を履き替えようとした時、スラッとしたミルクティー色の後ろ姿を見つけた。


「傘、お貸ししましょうか?」



音もなく背後に迫ってひょこ、と顔を覗かせる。


涼しい目が私を捉えるとギョッとして、たちまち子犬顔になった。


「葉すっ……優里さん!なんで?」

「私は野暮用。そちらはなんで?」


淡々と質問返し。

まだ狼狽えてる葵くんは、つっかえながら返事をした。



「俺……は、その、ちょっと呼び出されて……」

「ふーん。愛の告白だ?」

「なんでわかったの!?」



本気で自分のスペックに無自覚なのね。もったいない。


「天下のクズ城葵だからでしょ。」



皮肉って笑えば、葵くんはぐっと黙った。

< 34 / 115 >

この作品をシェア

pagetop