純情*ライアー

「で?傘、どうする?
折り畳み傘もあるから貸してあげられるけど。」


言いながらビニール傘をバッと開く。



その時起こった風が、さっき移った男物の制汗剤の匂いを拡散した。



「……優里さんは、ナニしてたの?」


葵くんは苦々しそうに顔を顰める。


“何”の文字が、カタカナだった。


ピュア男子でも、流石に察しがつくみたいだ。



「……気になる?事細かに教えてあげよっか。」



薄く笑って髪を揺らせば、葵くんの目元の力がグッと増す。


葵くんは純情すぎるから。
たまにこうして線引きしてあげた方がいい。



「……いや、いい。」

ふいっと顔を背けられてしまった。

髪から覗くブルーのピアスが光ってるのが、悲しく見えた。


「そ?じゃあ言わないどくね。」


会話が終わった。

しとしとと雨が降る音が微妙な空気の間を持たせている。

< 35 / 115 >

この作品をシェア

pagetop