純情*ライアー
「で?傘、どうする?
折り畳み傘もあるから貸してあげられるけど。」
言いながらビニール傘をバッと開く。
その時起こった風が、さっき移った男物の制汗剤の匂いを拡散した。
「……優里さんは、ナニしてたの?」
葵くんは苦々しそうに顔を顰める。
“何”の文字が、カタカナだった。
ピュア男子でも、流石に察しがつくみたいだ。
「……気になる?事細かに教えてあげよっか。」
薄く笑って髪を揺らせば、葵くんの目元の力がグッと増す。
葵くんは純情すぎるから。
たまにこうして線引きしてあげた方がいい。
「……いや、いい。」
ふいっと顔を背けられてしまった。
髪から覗くブルーのピアスが光ってるのが、悲しく見えた。
「そ?じゃあ言わないどくね。」
会話が終わった。
しとしとと雨が降る音が微妙な空気の間を持たせている。