身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 はい。と重さの残る声で返事をする。佑太さんは黙ったままだ。

「ごめんね、余計なお世話しちゃって」
「いえ、気にしないでください」

 じゃ。と赤いハイヒールを履いて去っていく京子さんの背中が小さくなるまで見送る。
 
「……すまん。母さんのおせっかいに巻き込んで」

 ふわりと朗らかで品のある香りが鼻を突く。私は佑太さんの腕に抱かれていた。

「おせっかい、だなんて」

 京子さんの言った話は全て事実と私は受け止めている。嫌がらせされたとかそんな気持ちは微塵もない。

「私の事は気にしないで。大丈夫だから」
「……」

 微妙な空気が伝って行くのが分かる。こんな時ぱっと明るく空気を変える能力があればいいのだけど、生憎私には持ち合わせていない。
 だけどひとつだけ思いついた事はある。

「新作スイーツの話でもします?」
「する」

 相変わらず食いつきが早い。その場しのぎ感がしないわけでもないけど、佑太さんが好きなものは彼が気が済むまであげ続けたい。
 ――ひょっとしたら、父さんは母さんが気が済むまで愛を与えられなかったのと、真逆かも。


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