身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
「ふふっ」

 なんだかよくわからないが、お腹の底から笑みがこぼれてきた。先ほどの重苦しい空気が全て吹き飛んでしまったかのようで、身体が軽くなる。

「どうした? 笑って」
「私も佑太さんの気持ちがわかるからかな」
「そっか。ははっ、共通点ってわけか」
「そう言う事になるかな。こうしてお互いの共通点について話し合うの、楽しい気がする」

 何気ない女子トークが弾んでいるのと似ているようでまた違っている。すると佑太さんも真一文字に結んでいた口元を柔らかくしていった。

「じゃあ、もっと話すか」
「そうだね。佑太さんの学校でも給食にプルーン出たの、ちょっと驚き」
「そうか? よかったら詩織の通っていた学校の給食についても教えてよ。クレープとか出てた?」
「クレープは冷凍してたやつがたまに出てたかも。ほら、長方形に折りたたまれてて、中に凍ったいちごのジャムとクリームが入ってて」

 それ、食べた事あるかも。と佑太さんが興味深そうに目を丸くさせる。
 ちなみに佑太さんの通っていた学校は予想通りいわゆる幼稚舎から大学までエスカレーター式で、まさにお金持ちが通うような所。私はそうじゃないだけに、給食で同じ食材を食べていたのが知れて純粋に嬉しい。
 クレープの後も給食の話が弾み、気がつけば窓から見える空は日が傾きつつあるのが確認できる。

「もう夕方ですか。夕食の準備をしないと」
「俺も手伝おう」

 その時、佑太さんのズボンからピロピロと電子音が鳴り響く。

「もしもし。わかりましたすぐに行きます」

 通話は体感で僅か3秒程。スマホをキッチンカウンターの上に置くや否や、リビングにある白い革製のソファの右端に置かれた黒い鞄を掴む。

「すまない。呼び出しを受けた。ここで待っていてくれるか?」
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