身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
「そうだったんだ」
「まあそうだなぁ。今こうしている間にも患者は増えていってるわけだし。ひとりでも救う為にって考えたらこうなってたって訳だ」

 ここで彼のインタビュー映像が流れだす。

 ――どうして医者になろうと思ったのですか?
 ――幼い頃、手術を受けた事があったのでそれを見て……っすかね

 なんだか、私にとっては黒ずくめの人という存在だった時と、話し方が似ている気がする。

「ふふっ、あの時と同じだ」
「どうしてもこういうのは中々抜けにくくてな……詩織は特別なんだけど。でも、今思うと、この年齢でもガンガンやっていけれるのは、シュクレのスイーツのおかげかもな」

 佑太さんの同期はガタがきつつある人が結構いるらしい。36歳だもんね、無理もないか。
 だが今の彼の目元にはクマがある辺り、全くそういうのとは無縁なわけでもなさそう。

「休める時はしっかり休んでね」
「そうする。詩織に心配かけさせたくないからな」
「ふふっ……そう言ってくれて何より。よし早速お昼のデザートでも作ろうかな!」

 ふうと息を吐きながらソファから立ち上がると、佑太さんは期待のこもった目でこちらを見ていた。

「マフィンうまかったから、また作るか? あれは何度食べても飽きない味をしている」
「そんなに気に入ってくれたの?」
「ああ。あれってシュクレでは売ってないだろ? よかったら売ってくれないか?」

 突然の提案に驚きが止まらない。父さんは確かマフィンは作ってなかったのも併せて開いた口が塞がらない。

「でも、売れるかどうか……ホットケーキミックスを使って焼いたから、本格的なものではないと言うか」
「俺は少なくとも気に入った。どうだ? 遼太郎さんと話してからでもいい」

 
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