身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
 材料がパアになったのに何で冷静なんだろう?

「えっ……佑太さん、怒らないの?」
「なんでだ。材料は結構買い込んであるんだから、それらを使えばいい。気にするな」

 これが大人の余裕ってやつか。佑太さんが相手でよかったかも。

「さあ、こっち。目は閉じてていい。代わりに俺の手をしっかり握って」

 両手が彼の大きな手で抱かれるようにして握られる。温かい手が、自虐的な感情に囚われていた私の心を優しくほぐしてくれている気がした。
 浴室に辿り着くと、佑太さんの手は私の手からぱっと離れていった。

「……すまない。服、脱がせてもいいか? 確認だ」

 とても遠慮しているような控えめな声音は、お見合いの場で出会った時のそれと似ている気がする。
 そっか。瞼を開けたら目がひどい事になるのはわかりきってるけど脱がないといけないよね。あれこれ知覚した瞬間、ぱっと顔が熱くなってきた。

「あ……」

 家族以外の人、それも結婚した男性に裸を見られるのってこんなにも恥ずかしいのか……。今の状況と天秤にかけても中々すぐには首を縦に振れない。
 もっとすごい事をしないといけない契約を交わしているのに。
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