身代わり花嫁は無愛想なエリート外科医(超甘党)からの極甘溺愛を刻まれる
「謝ってください。お父さんに。あなた、言っていい事と悪い事があるって習いませんでしたか?! ちゃんと授業で習いましたよね?」

 一歩踏み出し距離を詰める。私の怒りが届いたのか届いていないのか、流はじとっと目を細めてこちらを見ているだけだ。その糸のように細くなった瞳から放たれる眼光の鋭さに、私は負けじと睨み返す。
 ここで目を逸らしてしまったら、またイライラする笑みを浮かべて来るだろうから。

「ふぅん……」
「聞いてるんですか? 何考えているかわかりませんけど……! 謝ってください! うちの父親に!」
「なるほどねえ。いやぁ詩織ちゃん可愛いねえ。前からずっと思ってたんだけど俺と結婚してくれたらこの店の土地代も売り上げの一部の支払いもぜ~んぶチャラにしてあげるよ?」
「はあ?! ありえない!」

 結婚という言葉が全身の神経を逆なでする。
 ああ、気持ち悪い。どうして? ただでさえ結婚に良いイメージなんて無いのに、どうしてこんなやつから求婚されるんだ! と頭がおかしくなってしまいそうなくらいに怒りに支配されていく。

「断ります! もうこれ以上あなたとお話しする気はありません。ですからおかえりください!」
「そっか、ああそういえば詩織ちゃんのお母さん離婚して出て行っちゃったもんね。だから結婚したくないんだ。気持ちはわかるよ?」

 
< 7 / 91 >

この作品をシェア

pagetop