極甘CEOと交際0日の仮初結婚 ~一途な彼の、初恋妻になりました~
エントランスに入ったばかりの場所で立ち尽くしていると、きっちりと制服を着こなしたスタッフさんに声を掛けられた。泣きたい気持ちで、名前と、久遠千秋さんに届け物があると伝えた。最高のホテルで働くスタッフさんは、そんなことは一切表情に出さなかった。でもきっと、私がこの場所にいることを不審に思っていることだろう。
確認してまいります、とスタッフさんはフロントの奥に消えた。ややあって戻ってきた彼は、ご案内しますと私を促す。
すみません、と思わず口走ってから、スタッフさんのあとについていく。
エレベーターに乗って案内されたのは、控室と思われる部屋だった。スタッフさんがあけてくれた扉から入室すると、スーツ姿の千秋くんがいた。
その途端、ほっとして泣いてしまいそうになる。
「すみません、紗夜香さん。お手間をおかけしてしまって」
千秋くんがこちらへやってくる。緩く首を振って、バッグから取り出したカフスボタンをハンカチごと渡す。泣きたい気持ちをなんとか堪えて、ひとつ息を吐いたところで、室内にもうひとりの人物がいることに気づいた。
あ、と小さく息を呑む。
その人物は、ナイトアクアリウムに行った日に、千秋くんが乗った赤いスポーツカーを運転していた女性。
とても綺麗なひとだった。モデルみたいなスタイルに、鮮やかな赤のドレスがよく似合っていた。
私は彼女を不躾に見つめてしまった。私に見られていることに気づいた彼女が、私に向かって薄く笑った。
「初めまして。二条美緒です」
二条さんはこちらに近づいて、私に握手を求めた。私はひどくぎこちなく彼女に手を差し出す。
二条さんの手を握りながら、私も自己紹介をする。
「初めまして……宮野、さ……紗夜香です」
途中で舌が絡まってしまって、名乗ることすらまともにできなかった。ぎゅっとくちびるを引き結ぶと、私の手を手離しながら、二条さんが笑みを深めた。
「可愛らしい方ね」
嫣然とした表情。見惚れてしまうくらいに綺麗。仕草のすべてに気品がある。おそらく、年齢は私とそう変わらない。
だけど、二条さんと向き合う自分が、とてつもなく幼い存在に思えた。
確認してまいります、とスタッフさんはフロントの奥に消えた。ややあって戻ってきた彼は、ご案内しますと私を促す。
すみません、と思わず口走ってから、スタッフさんのあとについていく。
エレベーターに乗って案内されたのは、控室と思われる部屋だった。スタッフさんがあけてくれた扉から入室すると、スーツ姿の千秋くんがいた。
その途端、ほっとして泣いてしまいそうになる。
「すみません、紗夜香さん。お手間をおかけしてしまって」
千秋くんがこちらへやってくる。緩く首を振って、バッグから取り出したカフスボタンをハンカチごと渡す。泣きたい気持ちをなんとか堪えて、ひとつ息を吐いたところで、室内にもうひとりの人物がいることに気づいた。
あ、と小さく息を呑む。
その人物は、ナイトアクアリウムに行った日に、千秋くんが乗った赤いスポーツカーを運転していた女性。
とても綺麗なひとだった。モデルみたいなスタイルに、鮮やかな赤のドレスがよく似合っていた。
私は彼女を不躾に見つめてしまった。私に見られていることに気づいた彼女が、私に向かって薄く笑った。
「初めまして。二条美緒です」
二条さんはこちらに近づいて、私に握手を求めた。私はひどくぎこちなく彼女に手を差し出す。
二条さんの手を握りながら、私も自己紹介をする。
「初めまして……宮野、さ……紗夜香です」
途中で舌が絡まってしまって、名乗ることすらまともにできなかった。ぎゅっとくちびるを引き結ぶと、私の手を手離しながら、二条さんが笑みを深めた。
「可愛らしい方ね」
嫣然とした表情。見惚れてしまうくらいに綺麗。仕草のすべてに気品がある。おそらく、年齢は私とそう変わらない。
だけど、二条さんと向き合う自分が、とてつもなく幼い存在に思えた。