極甘CEOと交際0日の仮初結婚 ~一途な彼の、初恋妻になりました~

 冬の温度が染みていた。絡めた指先がシーツに沈む。波打つように乱れたシーツに、カーテン越しの月影が揺らめく。

 たったふたりきりの世界――水底みたいに透明な青。青めいた影を輪郭にまとい、千秋くんは私を見下ろす。彼の瞳に仄めくのは、世界の冷ややかさとは裏腹の熱。愛を伝える言葉は、きっともう役目を果たさない。

 近づいて、そっと触れ合う私たちの境界。影と影が重なって、やがて何もかもが曖昧になる。
 肌と肌の交ざりが汗ばみ、息遣いが掠れてゆく。彼の背中に縋る指先の、冬の温度はもう跡形もなくて。

 甘やかな波に呑まれそうになりながら、それでも、けっして目を閉じなかった。

 だって、今日は夢を見る夜じゃない。
 彼を見つめて、彼に見つめられて――けっして泡沫みたいに消えたりしない、確かな愛を交わし合う夜。
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